第24話 - 「兵士の罠」
ツヨシとティナとエミリアの3人は、再び街を目指して歩き始めた。
乾いた風が吹き荒れ、砂塵が舞い上がる。
遠くで、不気味な生き物の遠吠えが響き、砂漠の静寂をかき乱す。その中を3人は無言で歩を進めていた。
ツヨシは人間型アンドロイドの脅威に警戒しながら、目を細めて周囲を見回していた。
「こんな状況では、いつ敵に襲われてもおかしくないわね…」
ティナが疲れた表情で呟くと、エミリアが振り返って微笑んだ。
「心配しないで。私がついてるから、きっと大丈夫よ」
その言葉にティナは少し表情を緩めたが、ツヨシは相変わらず周囲を見渡していた。
目の前に広がる砂漠には何の変化もないように見えるが、彼の心には不安が渦巻いていた。
ふとした瞬間、ツヨシはエミリアの背後に目を向けた。そして、何の前触れもなく彼女の髪をそっと抜いた。
「いたっ!」
エミリアが驚いて振り向く。
「ごめん。エミリアが、もしアンドロイドだったら…と思って心配になって…」
ツヨシが申し訳なさそうに謝ると、エミリアはくすりと笑い、軽く肩をすくめた。
「いいのよ、気にしないで。警戒するのは当然だもの」
その時、遠くから低い「ブーン…」という音が風に乗って聞こえてきた。ツヨシの表情が引き締まる。
「偵察ドローンよ!伏せて!」
エミリアが鋭く声を上げると、3人は一斉に地面に伏せた。
砂地の熱が彼らの体をじんわりと包む中、小さな昆虫型の偵察ドローンが彼らの頭上を飛び回っていた。
鋭い金属音が耳に響き、その動きはランダムで不気味だった。
やがてドローンが遠ざかると、エミリアはゆっくりと顔を上げた。
「ときどき、ああやって偵察ドローンが飛んでいるの。虫タイプは攻撃能力がないけど、油断しないで。鳥くらいの大きさの攻撃型もあるわ」
「面倒な連中だな…」
ツヨシは額の汗をぬぐいながら言った。
再び歩き出してしばらくすると、道の途中で助けを求める兵士に遭遇した。
兵士は砂の中にうずくまり、足を負傷して動けないようだった。ティナが駆け寄り、しゃがみ込んで声をかけた。
「大丈夫ですか?怪我をしてるんですか?」
兵士は薄暗い目を開け、かすれた声で答えた。
「…助けてくれ…。私は砂漠警備隊の兵士だ…。敵の攻撃を受けて…ここに取り残されてしまった…」
ティナはすぐに回復魔法を試みたが、魔法の光は彼の体に届くことなく消えた。
「…おかしいわ…。魔法が効かないなんて…」
ツヨシは彼女の肩に手を置き、慎重に兵士を観察した。目の焦点が定まらず、動きもぎこちない。
疑念を抱いたツヨシは、そっと髪の毛を抜いた。
しかし、兵士は痛がる様子もなく、全く反応を示さなかった。
「…やっぱり!ティナ、アンドロイドだ!」
次の瞬間、兵士に化けたアンドロイドが鋭い動きでティナに掴みかかった。アンドロイドの腕が彼女の肩に伸びる。
「くそっ!」
ツヨシはハンマーを振り下ろし、アンドロイドの腕を弾き飛ばした。
しかし、アンドロイドはすぐに反撃に出る。
「ティナ、下がれ!」
ツヨシは叫びながらハンマーを振り回し、アンドロイドの頭部を叩きつけた。
それでも立ち上がろうとするアンドロイド。
その時、轟音と共にショットガンの弾丸がアンドロイドの胸部を貫いた。
「無事?」
ショットガンを構えたエミリアが駆け寄る。
「…助かったよ、ありがとう」
ツヨシは安堵の息をつき、怯えた様子のティナを抱き寄せた。
「ティナ、大丈夫か?」
「ええ…ありがとう、ツヨシ…♡」
「最初の街が見えてきました。今日は、そこに泊まりましょう」
エミリアが指さした先には、砂塵の中にぼんやりと浮かぶ建物の影があった。
「もうすぐね…」
ティナが自分を奮い立たせるように呟く。
「よし、行こう」
ツヨシたち3人は砂漠の道を再び歩き出した。
(続く)