第23話 - 「砂漠の案内人」

ツヨシとティナは、人間型アンドロイドの脅威に警戒しながら、次の街を目指して砂漠を歩き続けていた。
太陽は容赦なく二人を照らし、乾いた風が砂を巻き上げて視界を曇らせる。
それでも二人は、疲れた足を引きずりながら進むしかなかった。

「あとどれくらい歩けば街に着くんだろうな…」

ツヨシがため息をつくと、ティナが横目で彼を見た。

「とにかく進むしかないわ…」

彼女の声には疲労の色が隠せなかったが、それでも前を見つめる瞳には強い意志が宿っていた。
日が暮れ、二人はやむを得ず野宿をすることにした。

「今日はここで休もう」

ツヨシは周囲を見渡し、砂漠の中で風を防げそうな岩陰を見つけると、荷物を下ろした。

「焚き火を起こすよ」

ツヨシは、手際よく近くの乾いた枝を集めて火をつけた。
そのオレンジ色の炎が、二人の顔を優しく照らす。

「お腹、空いたでしょ?」

ティナが取り出したのは、缶詰とクラッカーだった。
豪華な食事とは言えなかったが、空腹を満たすには十分だった。

「ありがとう、ティナ」

ツヨシはティナから受け取った食事を口に運び、ゆっくりと味わった。
夜空には無数の星が輝き、砂漠は静寂に包まれていた。
焚き火の音だけが時折、静けさを破る。二人は寄り添いながら、身体を休めるために目を閉じた。

「明日こそは街に着けるといいな」

ツヨシがそう呟いた瞬間、ティナの肩越しに見える星空がぼんやりと霞んでいくのが目に入った。それは、疲労のせいではなかった。

翌朝、ツヨシとティナは目を覚まし、再び旅を始めた。
空は明るく晴れ渡り、砂漠の景色が延々と続く中、遠くで小さな黒い点が動いているのを見つけた。

「…あれは何だ?」

ツヨシが指差す先には、低空でまるで昆虫のような動きをする黒い物体があった。
ティナは険しい表情でそれを凝視する。

「動きが変ね…。ツヨシ、あれはただの虫じゃないわ」

ティナは警戒を強め、魔法のスティックを手に取った。

「…小型のドローンかもしれない。もし敵の物だったら、やっかいだわ」

その言葉にツヨシもハンマーを構える。
しかし、ドローンは砂漠の上を素早く動き回り、容易に捕らえられそうになかった。

「くそっ!厄介な奴だ!」

ツヨシが攻撃を繰り出すたびに、ドローンはするりとかわしていく。
その小刻みな動きに、ツヨシの額には汗が滲んだ。

「私がやるわ!」

ティナが魔法のスティックを振りかざし、ドローンにヒットさせた。
ドローンは地面に落下して、動かなくなった。

「やったな、ティナ!」

ツヨシが声を上げると、ティナは少し照れたように笑った。

「でも…今のが偵察用なら、本隊が近くにいるかもしれないわ」

二人は警戒を解かずに歩みを進めた。

しばらくして、砂丘の向こうから一人の女性が現れた。
彼女は長い黒髪に白いローブをまとい、端正な顔立ちで穏やかに微笑んでいた。

「こんにちは。あなたたちは旅人の方ですか?」

彼女の声は澄んでいて心地よい響きだったが、ツヨシは警戒を崩さなかった。

「そうだが、あなたは?」

「私はエミリア。この砂漠の王国で旅人を案内する者です」

ティナがすぐに反応した。

「そんな親切、ただとは思えないわ。何が目的なの?」

エミリアは笑みを崩し、少し悲しそうな表情になった。

「私たちの王国は、敵国C連邦とアンドロイドの脅威に苦しんでいます。C連邦に停戦交渉に行くために、力を貸してほしいのです」

ツヨシは、自分たちが異次元の扉を目指していて、それどころではないことを伝えた。
すると、エミリアはこう返した。

「あなたたちが異次元の扉を探しているなら、それはおそらくC連邦の中央司令部にあります」

「でも、なぜそれを教える?」

ツヨシが問い詰めるように尋ねると、エミリアは真剣な表情で言葉を続けた。

「私たちは今、味方を必要としているのです。あなたたちが異次元の扉を目指すなら、私が案内します」

ティナは不信感を抱きつつも、ツヨシと顔を見合わせた。
エミリアの話にティナが割り込む。

「通信機器やヘリは使えないの?」
「通信機器は敵の電磁波妨害で使えず、ヘリはドローンに撃墜されます。徒歩で進むしか方法はありません。ここから数日はかかりますが…」

「どうする?」
「案内してもらおう。ただし、気を抜くなよ」

二人はエミリアに案内されながら、再び砂漠の道を進んでいった。


(続く)

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