第22話 - 「廃校の子供たち(2)」

ツヨシは子供型アンドロイドの攻撃を必死にかわしながら、ショットガンを次々と発射した。
弾丸が命中するたびに火花が散り、一体、また一体と倒れていく。
しかし、次々と襲いかかってくるアンドロイドの数は減る気配を見せなかった。

「なんて数だ!これじゃキリがない!」

ツヨシが叫ぶ声にかき消されるように、金属がぶつかり合う不快な音が廃校の廊下に響き渡った。
ティナもハンドガンを駆使し、懸命に応戦していたが、その目には恐怖が浮かんでいた。
彼女は震えを抑えながらも、確実にアンドロイドの要所を狙い続けている。

「ツヨシ、後ろ!」

その声に反応し、ツヨシは振り返りざまにハンマーを振り下ろした。
近づいていた一体のアンドロイドは、ツヨシの攻撃を受けて床に崩れ落ちた。
しかし、その時だった。低い振動音と共に、廊下の奥から何か巨大なものが姿を現した。

「何だ…あれは…!」

それは大型の戦闘用アンドロイドだった。
全長2メートルはありそうなそのボディにはバルカン砲を搭載しており、鋭い赤い目がツヨシたちを捉えていた。

「目標確認。人間、排除する」

次の瞬間、戦闘用アンドロイドは、ツヨシたちに向かってバルカン砲を撃ち始めた。
弾丸が壁を削り、火花が飛び散る中、ツヨシとティナは間一髪で柱の影に身を隠した。

「ハンドガンやショットガンじゃ、あいつには通じない…!」

ツヨシは歯を食いしばりながら、背中のビームライフルを引き抜いた。

「ティナ、バリアーを頼む!」

「任せて!」

ティナは魔法のスティックを高く振り上げると、青白い光が弧を描きながら広がり、透明なバリアーを形成した。
そのバリアーは弾丸を弾き返し、二人を守る盾となった。

「今だ!」

ツヨシはビームライフルの照準を戦闘用アンドロイドの中心に合わせ、深呼吸をして引き金を引いた。
眩い光のビームが一直線に放たれ、アンドロイドの胴体を貫通した。

「爆発するぞ、伏せろ!」

ツヨシが叫ぶと同時に、戦闘用アンドロイドが大爆発を起こした。
轟音と共に破片が周囲に飛び散り、廃校の窓ガラスが粉々に割れた。

「ツヨシ!やったわ!」

ティナが歓声を上げたが、その余韻に浸る暇はなかった。
残った子供型アンドロイドが再び襲いかかってきたからだ。

「油断するな!」

ツヨシはショットガンを構え直し、ティナと共に最後の一体まで撃ち倒した。

戦いが終わると、二人は息を切らしながらその場に座り込んだ。

「危なかったな…。ティナ、怪我はないか?」

ツヨシがティナを気遣うように問いかける。

「私は大丈夫。でも…」

ティナは目を伏せ、声を震わせながら続けた。

「あの子供たちが、まさかロボットだったなんて…。本当に恐ろしい…」

その言葉には、アンドロイドが人間の姿をしていることへの嫌悪と、戦いの中で抱いた恐怖が混じっていた。


廃校を後にしたツヨシとティナは、再び街を目指して歩き始めた。
道端で倒れている兵士を見つけると、ツヨシが駆け寄ってその体を揺すった。

「大丈夫ですか!?生きてますか?」

兵士は微かに目を開け、弱々しい声で返事をした。

「…お前たちは…何者だ…?人間なのか…?」

兵士は、ツヨシたちに銃を向けながら言った。

「撃たないでください!僕たちは人間です」

ツヨシはそう言いながら、カッターで自分の手を軽く切った。
手からは、少し血が出ている。

「俺はツヨシ。こっちはティナです。旅の者です」

ティナは微笑みながら、兵士に水を渡し、回復魔法をかけた。

「ありがとう…。助かった…。だが…聞いてくれ…。この戦争のことを…」

兵士は息絶え絶えに、隣国との長い戦争の末に敵国が開発した「人間型アンドロイド」について語り始めた。

「奴らは…人間と見分けがつかない…。見た目も声も動きも完璧だ…。だが…簡単な見分け方がある…。髪を抜いてみろ…。奴らは痛みを感じないし、反応もしない…」

話し終えると、兵士は苦しげに咳き込み、そのまま意識を失った。

「ティナ、なんとか彼を助けられないか?」
「ごめんなさい…。重症すぎて、私の魔法では…」

ティナは悲しそうに首を振った。
ツヨシとティナは兵士の遺体を近くの教会に運び、丁寧に埋葬した。

「こんなことが起きているなんて…。異次元の扉を探す旅が、こんな形で危険と交差するとはな…」

ツヨシは目を閉じ、拳を握りしめた。

教会を後にしたツヨシたちは、兵士の話を胸に刻んだ。

「人間型アンドロイドか…。厄介なことになりそうだな」

「ツヨシ、私たちも、これから出会う人間に注意しないと…。もしアンドロイドだったら、大変なことに…」
「ああ。注意しないとな」

二人は警戒心を強めつつ、次の街への道を歩き始めた。
果たして、これからどんな出会いが待っているのか。ツヨシとティナは、それぞれの思いを胸に、冒険を続けるのだった。


(続く)

< 前へ    次へ >    目次