第4話 進三郎の幼馴染、来訪(前半)

夕方の空が鮮やかなオレンジ色に染まり、街並みがやわらかな光に包まれる中、進三郎は学校からの帰り道を歩いていた。
長い一日を終え、体は疲労に包まれていたが、家に着いたら何を食べようかとぼんやり考えながら足を進めていた。

ふと、自分の家の前に誰かが立っているのが見えた。
小柄ながら引き締まった体つき、短く切り揃えた黒髪、制服をぴしりと着こなした姿――それは、幼馴染のメグだった。

「オッス!ひさしぶり!」
メグは微笑んだが、その表情はいつもと違うような気がした。いきなり来たメグに進三郎は驚きつつも理由を尋ねた。

「メグ?どうしてこんなところにいるんだ?」
「進三郎、最近様子がおかしいって噂を聞いたの。…それで、直接確認しに来たの。」
「別におかしくなんてないよ。ただ、普通に暮らしてるだけで…」

進三郎が弁解しようとすると、メグは一歩前に出てきた。

「じゃあ、中を見せてよ。隠し事はないんでしょ?」
進三郎は一瞬言葉を詰まらせたが、メグを追い返すのは不可能だと悟り、仕方なく自分の部屋へ案内した。

進三郎の家は典型的な一人暮らしの学生の部屋だった。簡素な家具、散らばった雑誌、そして机の上に広げられたノートやパソコン。
しかし、部屋の中にただならぬ存在感を放つものがあった――それは、ピンク色の長い髪をした少女、メルだった。

メルはソファに座り、進三郎が帰宅したのを確認するとにこやかに微笑んだ。

「おかえり、進三郎。…その子、誰?」
メルの柔らかな声に、メグは一瞬目を見張った。そして、その青い目と整った顔立ちに視線を向けたまま、進三郎に問いかけた。

「…誰、この子?見たことないけど。」
進三郎は慌てて口を開こうとしたが、それより先にメルが微笑んで言った。

「私、進三郎の妹のメルよ。よろしくね。」
「妹?進三郎に妹なんていたっけ?」

メグの眉がピクリと動き、さらに怪しげな視線をメルに向けた。
進三郎は冷や汗をかきながら必死に話をそらそうとしたが、メグは鋭く切り込んできた。

「この子…普通じゃない気がする。」
メグの目がメルの全身をなめるように動く。髪の色、肌の質感、指先の動き、何かが彼女の直感を刺激していた。

「メルちゃん、髪の色、すごく特徴的だけど地毛じゃないでしょ?」
メルは動じることなく、にこやかに微笑みながら答える。

「私の髪?これは生まれつきなの。」
メグは、ソファに座るメルの足元や手元をじっくりと観察していた。

「進三郎、この子…ちょっと変よ。普通の人間じゃない。何か隠してるね?」
メグがそう指摘した瞬間、進三郎は返事に詰まり、メルが代わりに口を開いた。

「バレちゃったなら仕方ないわね。」
進三郎は一瞬ハッとする。次の言葉を止めようとする暇もなく、メルが続けた。

「私は進三郎の妹だけど、本当はアンドロイドなの。」
その言葉にメグは大きく目を見開いた。

「アンドロイド?進三郎、一体どういうことなの?なんでこんなわけのわからないものが家にいるの?」
メグの声が鋭くなる。進三郎は焦りながらも、しどろもどろに答えた。

「その…ちょっとした偶然で、ガチャポンで手に入れたんだ。だけど、メルは危険なやつじゃないんだ。むしろすごく優しくて…」
「優しいとかじゃないでしょ!危険かもしれないって考えないの?」

メグの追及に進三郎が困り果てる中、メルが静かに進三郎の肩に手を置いた。

「進三郎は何も悪くないわ。私は彼を支えるためにここにいるの。」
その言葉は一見冷静だったが、どこかに切なさを宿していた。それを聞いたメグは黙り込み、そして鋭い目で進三郎に向き直った。

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メルに話しかける